進出先選び 市場開拓の視点カギ
新興国で高付加価値品を生産する場合、技術やノウハウの流出リスクも視野に入れて進出先を選ぶ必要がある。コネクターの自動組み立て装置製造・販売のTSS(東京・大田、田中淳社長)は2013年中にも台湾で設計・開発から組み立てまでを手掛ける新工場を稼働させる。現在は中国・青島にある現地法人で生産している。
人件費だけみれば台湾のほうが青島よりも高いが「一人前の開発者になるまでには数年かかる。転職が盛んな中国より人材の定着度が高い台湾の方がよいと判断した。技術の漏洩リスクも減らせる」と田中社長は指摘する。今後、汎用品は青島、高級品は台湾で生産していく方針だ。
生産拠点分散の受け皿として期待される東南アジア諸国の賃金水準は中国の大都市よりまだ低いが、自動車関連の外資系企業などの進出に伴う労働市場の需給逼迫で賃上げラッシュになっている。1月からインドネシアの首都ジャカルタでは最低賃金が44%上がった。ベトナムも全国で16~18%引き上げた。
人件費の安さに着目しても、その利点は徐々に薄れていく可能性が大きい。東南アジアに拠点を設けるのであれば日本向けの輸出だけでなく、現地需要を開拓して東南アジア諸国連合(ASEAN)域内の関税撤廃の恩恵を生かすといった視点も必要になりそうだ。
リソース:日本経済新聞
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