[北京 15日 ロイター] 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は15日、温家宝首相の後任に李克強副首相(57)を選出した。消費主導型の成長に向け、世界第2位に躍進した中国経済のかじ取りを担う。
前日は習近平国家主席が選出されており、全人代が指導部の世代交代を正式に承認したことになる。
全人代の3000人近い代表が信任投票を行い、反対3票、棄権6票が出た。選出が決まると、李氏は立ち上がって習氏と握手したほか、歩み寄ってきた温氏とも握手し、言葉を交わした。
李氏は首相として、貧富の格差拡大や投資主導型経済からの脱却、不動産市場の過熱といった問題に対処することになる。
北京在住の政治評論家Chen
Ziming氏は「(新指導部の中で)李氏の改革に向けた思いは極めて強いと確信している」とし、改革を志向するエコノミストらと親交が深いと指摘した。
同氏は北京大学の学生時代、民主主義的思想を持つ友人と付き合っていたが、そのうち何人かは後に共産党による支配に異論を唱えた。中には、1989年の天安門事件の後に亡命した活動家も含まれている。同氏は法学の学位と経済学の博士号を持つ。
また中国の外交政策に詳しい関係筋は、李氏が西側諸国のことを良く理解しているとも指摘している。
<バランスのとれた成長へ>
新たな経済体制の構築も課題だ。
アナリストの間では、温家宝首相時代の経済改革について、歩みが遅く、国有企業の存在感が高まったとして「失われた10年」だったとの指摘もある。
新政権は、より付加価値の高い製品を生み出すメーカーの育成や内需の拡大により、バランスの取れた経済成長を目指す必要がある。
李氏は、党内序列3位だった温家宝首相と異なり、党内序列2位で首相に就任。既に都市化の推進といった政策を進めている。
これは向こう10年間で4億人を都市住民とし、中間層の底上げによって経済成長を図ろうという計画だ。
環境面では、1月に北京の大気汚染を抑制すると表明したものの、具体策は打ち出していない。
昨年11月には、HIV(エイズウイルス)対策で非政府組織の役割を拡大すると約束した。政治評論家のChen氏は、李氏の進め方について、温氏のように演じるだけで終わることは少ないだろうと指摘した。
なお最高人民法院院長(最高裁長官)には、周強・湖南省党委書記が選出された。
リソース:ロイター
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