小売り大手のセブン&アイ・ホールディングス(HD)が中国・北京市で展開する食品スーパーの「王府井ヨーカ堂」を清算する。
「王府井ヨーカ堂」では一部で高級食材などを手がけていたが、中国の国内消費が低迷するなかで売れ行きが伸び悩んだ。今後は総合スーパー(GMS)事業に事業を譲渡し、一元的に運営していく。
食品スーパー「中国撤退ではありません」
セブン&アイHDは2012年9月末時点で、食品スーパーの「王府井ヨーカ堂」が北京市内に2か店、「華糖ヨーカ堂」が運営する総合スーパー(GMS)が北京市内に8か店、「成都イトーヨーカ堂」が成都市内に5か店のGMSを展開している。
このうち、「王府井ヨーカ堂」を清算する。中国国内の消費低迷と、新たに参入してきた海外の小売り大手や現地企業などとの競争が激しくなってきたことで販売が伸び悩んでいた。
「王府井ヨーカ堂」は、セブン&アイHD傘下のイトーヨーカ堂が40%、ヨークベニマルが20%出資するグループ会社。同社が運営する2か店の食品スーパーのうち、1か店はすでに閉店。残る1か店は2013年2月下旬にいったん閉店。同じ北京市内でGMS事業を展開する「華糖ヨーカ堂」に事業を譲渡し、中国当局の認可が下りしだい再開する予定。
「王府井ヨーカ堂」の清算についてセブン&アイHDは、12年9月の尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化で日本製品の不買運動があったが、「その影響で清算を決めたわけではありません」という。食品スーパーのGMSへの一元化は、「反日デモ以前から検討していました」と話す。
セブン&アイHDは12年5月に、中国での事業展開をGMSとコンビニエンスストアの「2本柱」で進めていくとし、中国での事業の投資や意思決定を迅速化するため、「投資性公司」の設置を発表した。いわば統括会社で、「それまでは資産運用を事業ごとに別々にしていたのを、一元化したことで効率よく投資できるようにしました」と説明する。
北京市内の食品スーパーを、さらにGMSの下で一元的に管理・運営することで投資効率を上げることができる。
今後は「華糖ヨーカ堂」の一事業部門となるが、「中国の食品スーパー事業から撤退したわけではありませんし、食品スーパー事業がこのまま1か店で終わりということもありません。引き続き、積極的に展開したいと考えています」としている。
中国での売上げ、まだスーパー事業が大半占める
もう一方のコンビニエンスストア事業は2012年9月末時点で、「セブン‐イレブン北京有限公司」が前年に比べて30か店増の177か店。「セブン‐イレブン成都有限公司」は同29か店増の70か店と、北京市や天津市、成都市、上海市などを中心に急増している。
GMSや食品スーパーに比べると、その出店攻勢は圧倒的だ。
しかし、セブン&アイHDは「日本国内ではGMS事業に比べると、コンビニ事業に積極的ではありますが、中国ではまだそのような状況にはありません。売り上げも、GMS事業が大半を占めています」という。
セブン&アイHDは中国での事業展開について、「GMS事業とコンビニ事業は『両輪』です」と、強調する。
リソース:J-CASTニュース
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