2013年1月7日月曜日

中国企業の対米投資最高 12年44%増の5700億円

サービス業へ拡大

【ニューヨーク=小川義也】中国企業による2012年の米国への投資額が65億ドル(約5700億円)と過去最高になった。豊富な資金力を背景に、従来の製造業やエネルギー権益に加え、映画館などサービス業まで対象は多様化している。ただ、米国内には安全保障上の理由などから中国企業の存在感の高まりへの警戒も強まっている。

米コンサルティング会社のロディアム・グループによると、12年の中国企業による米企業の買収や工場建設など直接投資額の合計は前年に比べて44%増加し、過去最高だった10年の58億ドルを上回った。

これまで中国企業の対米投資は、天然ガスや石油など資源権益や、米製造業の技術力を照準にしたものが中心だった。中国石油化工(シノペック)が12年、米石油開発会社デボン・エナジーの米国内5か所にあるシェールガス権益などを25億ドルで買収したのは典型だ。

映画館2位を買収

最近は、サービス業への投資も目立ってきた。中国の不動産開発大手、大連万達集団が米映画館チェーン2位のAMCエンターテインメントを26億ドルで買収。

中国企業の対米投資では12年最大の案件となった。

中国は国内総生産(GDP)に占めるサービス部門の比率が43%で、BRICs諸国の中で最も低い。中国共産党の習近平総書記は持続的な成長に向けた新たな原動力としてサービス産業の育成に注力する考え。米サービス業のノウハウやブランドを狙う投資は今後も増える可能性が高い。

まだ対米直接投資の残高に占める中国の割合は1%に満たないが、存在感は年々高まりつつある。08年以前は、中国企業の対米投資が年平均30件前後にとどまっていたが、09年以降は3倍近くに急増した。

航空機リース大手の株取得

今後も勢いは続く見通し。中国の新華信託を中心とする投資家連合は12年12月、米航空機リース大手インターナショナル・リース・ファイナンス(ILFC)の株式約80%を米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)から42億3千万ドルで取得することで合意した。

中国自動車部品大手の万向集団は、経営破綻した米電池ベンチャーのA123システムズの防衛関連を除く事業を2億6千万ドルで落札した。これ以外にも米政府の承認待ち案件がずらりと並ぶ。ロディアム・ネマン氏は「直接投資を巡っては(米国から中国への)一方通行から双方向の関連に構造的な変化が進んでいる」と指摘する。

リソース:日本経済新聞

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