政府は12日、10月の月例経済報告を発表し、景気の基調判断は前月の「回復の動きに足踏みがみられる」から「このところ弱めの動きとなっている」に表現を改め、3カ月連続で下方修正。5月から盛り込まれていた「回復」の表現を削除した。世界経済の減速で輸出が減少し、企業の生産が落ち込んだためで、日本経済の減速ぶりを鮮明にした。先行きは、沖縄県・尖閣諸島の国有化をめぐる日中関係の悪化を新たなリスクとして織り込み、「不確実性は高い」とした。
「景気動向には極めて危機感を持っている」。前原誠司経済財政担当相は12日の会見で警戒心をあらわにした。3カ月連続の引き下げは、リーマン・ショック後に景気が急速に悪化した平成20年10月~21年2月の5カ月連続以来。民間エコノミストの間では「景気は後退局面にある」(第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト)との見方も多い。前原経財相は「後退局面か確たることは言えないが財政金融でしっかりとした対応をとることが必要だ」と述べるにとどめた。
個別項目では、生産は「弱含んでいる」から「減少している」に3カ月連続で下方修正。業況判断は10カ月ぶりに判断を引き下げ、「大企業を中心に小幅改善になっている」から「製造業を中心に慎重さがみられる」とした。
月例経済報告では、生産の落ち込みに歯止めがかからず、企業収益や雇用、所得環境が悪化し、個人消費の停滞を招くことを危惧した。内需では、エコカー補助金の終了などで消費が息切れし、外需は円高で輸出が伸び悩んでいるためだ。
先行きでは、欧州債務危機が収束しない中、世界経済の下振れを引き続き警戒した。中国では欧州向け輸出の鈍化に加え、海外投資も鈍り、減速感が強く、経済の牽引(けんいん)力が弱まっているため。日中関係の悪化の影響も新たな景気の先行きリスクとして浮上。世界経済の回復に伴う日本経済の成長シナリオも狂いが生じかねない。
リソース:MSN産経ニュース
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