特区構想弾み
先進的ながんの重粒子線治療に取り組んでいる群馬大学医学部付属病院(前橋市)が国外患者を受け入れることになった。野島美久病院長らが29日、記者会見で明らかにした。治療技術の定着と治療へのアジア各国のニーズなどを考慮して判断した。県は、群大を中心に群馬を国際的ながん医療拠点に成長させようと、政府に「がん治療技術国際戦略総合特区」の申請中で好影響も期待される。(椎名高志)
重粒子線治療は、従来の放射線治療に比べ、病巣に集中して照射できるため、周囲の正常な細胞への影響が抑えられるのが特徴だ。体への負担も少なく治療期間も短いとされる。群大は、世界で6カ所しかない治療施設を有している。
平成22年3月に先端医療として取り組みを始め、今年6月から一般向けの治療を開始した。11月末時点での累計患者数は、516人に達している。前立腺がんが最も多く、肺がん、肝臓がんなどにも行われている。
当初から国外患者の受け入れは検討されていたが、重粒子線医学センターの大野達也副センター長は「実績を積む中で治療技術や体制ができてきた。世界でも数少ない施設。アジア地域の人たちに提供していきたい」と話す。これまでも中国、台湾、韓国からの問い合わせがあったという。
具体的な受け入れは、経済産業省が委託する国際コーディネート会社が仲介し、地元のNPOが医療通訳など日本滞在中の手助けを行う。治療費だけで314万円かかるが、外国人の場合は検査費用なども全額自己負担となり、400万円以上は必要になるという。野島院長は「国外患者の受け入れ数は患者総数の数%程度になる」とみている。
これまで県内の患者が7割程度を占めており、「都内などへのPRに力を入れ、国内での受け入れも強化したい」としている。
一方、県では、申請中の特区に指定されれば、重粒子線治療技術の海外展開・高度化や国際的ながん医療スタッフの育成など、関連するビジネスモデルが構築できると見込んでいる。これまでに1次審査は通過しており、来月18日にヒアリングが控えている。群大の取り組みは政府の受け入れ判断と直接の関係はないが、県では「弾みがつく」と歓迎している。
リソース:Yahoo!ニュース
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