中国の旧正月で、中華圏の旅行シーズンである春節(2月10日から)。日本への玄関口となる成田空港を抱え、中国人観光客の集客に知恵を絞ってきた千葉県だが、今年の春節商戦はひっそりとしている。尖閣諸島問題を巡る日中関係悪化を受けて、中国人向けのキャンペーンを打つ商業施設は限られる。国内客向けに力を入れるなど例年とは違った光景だ。
県内で大型ショッピングセンター(SC)やアウトレット施設を運営する三井不動産は、春節向けのイベントを縮小する。「日中関係の悪化が長引いている印象があり、今年は控える」(同社)方針だ。
県内で運営する商業施設では「ららぽーとTOKYO―BAY」(船橋市)や三井アウトレットパーク幕張(千葉市)で中国や台湾、香港などからの来場者が多い。2011年春には日本製商品のセールや中国語の通訳サービスなどを展開。昨春も中国語表記の販促物を用意して買い物を促していた。今年は日中関係が悪化した昨秋から掲出を中止していた「歓迎」と中国語で書いた館内の旗を、春節に合わせて戻すのみにとどめる。
幕張新都心に本社を置き、県内でイオンモールなどの大型SCを展開するイオンも「特に春節向けの企画はない」とそっけない。「バレンタイン商戦の時期と重なるのでそちらに力を入れる」
東京ディズニーリゾート(TDR)に併設し、外国からの来場者も多いイクスピアリ(浦安市)も今年は「春節に特化したキャンペーンはない」。中国で広く普及する「銀聯カード」を取り扱っており11年の春節には期間限定で通訳と買い物の案内を兼ねた中国人買い物客向けのコンシェルジュを用意していた。
ただ三井不動産の中でも開業後、初の春節を迎える三井アウトレットパーク木更津(木更津市)は状況が異なる。「こういう中でもそれなりに中国から買い物客が来ている」(三井不)。2月には「ジャパンガイド」という中国語と英語の観光サイトを作り、サイトを見て訪れた来場者にボールペンを贈るなどして集客につなげる予定だ。
リソース:日本経済新聞
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