ホテルオークラはアジア市場を本格開拓する。2015年度をメドにアジア地域で約10ホテルを新設し、子会社のJALホテルズを含む海外の運営ホテル数を現在より4割多い40弱まで増やす。JALホテルズの買収効果などで業績が回復傾向にあり、積極展開の好機と判断した。経済成長が続くアジア市場への展開で先行するほか、同市場で認知度を引き上げることで訪日外国人客を取り込み成長をめざす。
13年中に中国の広州と蘇州に新たなホテルを開業する。展開するホテルブランドは傘下のJALホテルズの「ニッコー」ブランドを採用。客室数はそれぞれ400~477室程度の見通しで、日本人の出張客や現地を訪れるレジャー客まで幅広い層の利用を見込む。
広州や蘇州に続き、中国の他都市や、インドネシアなど東南アジアを中心に開業する。15年度までにホテルオークラとJALホテルズを合わせ計10以上のホテルを新設する方針だ。オークラは10年9月に日本航空から買収したJALホテルズを含めグループ全体で26ホテルを海外展開。このうちアジア地域が20拠点を占めており、さらにアジアシフトを鮮明にする。
オークラの海外展開は原則、土地・建物を所有する企業からの運営受託で、同社は所有者から運営に対する手数料収入を得る仕組み。海外展開を加速することで手数料収入の拡大につなげる。海外で同社の認知度を高めることでブランド力を引き上げ、訪日外国人客の宿泊需要も取り込む。
海外展開の拡大を見据えブランドも再編する。数年内に高価格帯のホテルブランドとして「オークラ ヘリテージ」「グランドニッコー」を新設し、ブランド数を7つに増やす。立地状況などに応じて柔軟に展開できるようにする。
同社がアジア市場の開拓に乗り出す背景には、国内市場の縮小と競争激化がある。人口減に加え、外資系ホテルの日本進出で東京などの都心ホテルでは供給過剰の状態が続く。14年には米ホテルチェーン大手のハイアット・ホテルズなどが都内で新たにホテルを開業する予定だ。
同社の業績が回復傾向にあることもアジア展開を後押しする。12年3月期の連結決算は売上高が前の期比10%増の599億円、純利益は同5%増の5億4千万円だった。JALホテルズが通年で増収に寄与したほか、従業員の再配慮や節電対策などの経営効率化で収益力が回復している。
リソース:日本経済新聞
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