目標1000万人 台湾やタイ、けん引
政権交代を受けて円安傾向が続く中、日本を訪れる外国人観光客が急回復してきた。日中関係の悪化を反映し中国人は回復の兆しが見えないが、東南アジアなどからの客が増えている。政府は2012年に836万人だった訪日外国人数を13年は1000万人にする目標。円安を商機の拡大や地域振興につなげようと全国各地の観光業者や自治体が動き出した。
札幌市の大通公園で11日まで開催中のさっぽろ雪まつり。会場内は例年以上に外国人観光客
でにぎわっていた。雪像を前に写真撮影をしたり、屋台村でみそラーメンを食べたりしている。「ファンタスティック(すばらしい)」「アローイカップ(おいしいね)」。周囲から英語、タイ語、中国語など世界各国の言葉が聞こえてくる。昨秋の新千歳ーバンコク線の就航に伴い、東南アジアからの客も目立つ。
震災前の5割増
札幌市内のホテルでは円安効果が表れている。ホテルオークラ札幌の1月の外国人宿泊客数は震災前の11年と比べ5割増加。台湾から来た客が倍近く増え、中国人客の減少分を補った。札幌プリンスホテルも中国の旧正月、春節休暇の外国人客予約が前年比10%伸びた。新千歳空港の外国人入国者数は春節が1月だった昨年比では19%減だったが、11年比では5%増えた。
円安をビジネスチャンスにつなげようと、新千歳空港近くの千歳アウトレットモール・レラ(北海道千歳市)は8日から外国人客向けに買い物額に応じて道産食品などが抽選で当たるキャンペーンを始めた。案内所には中国人スタッフを配置し受け入れ姿勢も整えた。中国人客こそ伸び悩んでいるが「香港や台湾は前年比2桁増で伸びている」(レラ)。
一方、鳥取県湯梨浜町。1月下旬、はわい温泉にある温泉旅館「望湖楼」の館内では、露天風呂や鬼シジミなど地元食材を使った料理を楽しむ浴衣姿の韓国人観光客でにぎわっていた。同旅館が韓国のテレビショッピングを通じて販売したツアーの参加者だ。
韓国ツアー4倍
韓国人向けにツアー販売を始めたのは5年前。震災や竹島問題の影響で一時期はほとんど申込者がいなかったが、今年に入り急に売れ出した。1月の韓国人宿泊客は約450人と前年同月に比べ4倍に増えた。
円安・ウォン高でツアー料金は昨秋に比べ、約1割安くなった。1人あたり7万ウォン(約6千円)節約できる。同旅館の中島伸之専務は「東京や大阪とはまた違う日本の魅力を知ってもらえれば」と韓国人誘客に期待する。
鳥取県にとって、地理的に近い韓国からの観光客は地域振興の頼みの網。米子ーソウル間の定期直行便の維持、韓国語の案内板の普及などに取り組み、韓国人観光客は順調に増えていた。だが震災以降は前年を1割以上割り込む状況が続いていた。
円安・ウォン高を回復への足掛かりにしようと、藤井喜臣副知事が2月2日ー4日、プロモーションのために訪韓。ソウル市内のホテルで集まった約30社の旅行会社を前に「鳥取には砂丘や温泉、松葉ガニをはじめとするおいしい食材など魅力がたくさんある」と鳥取のツアー商品の企画・販売を呼びかけた。
県は市内の商業施設でもイベントを開き、買い物を楽しむ人々に、鳥取の観光情報が見られる携帯端末用アプリを紹介した。
同じく1月下旬のJR長野県(長野市)。外国人観光客数人が白馬行きの高速バスを待っていた。シンガポール駐在中のオーストラリア人、ニコラス・ハリントンさんは「雪山と食事が大好きで来た」と笑顔を見せる。・・・
リソース:日本経済新聞
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