【中国人が会社を辞める理由は給与だけではない】
中国での人材流動性の高さは一般に指摘される通りです。「教育してもすぐに辞めてしまう」、「会社に対する忠誠心が低く、良い待遇の他社にあっさりと転職する」などと言った声は良く聞かれ、同様の相談を頂く事も少なくありません。
しかしながら、本当に中国人は常に転職を前提に勤務しているのでしょうか?果たして本当に、給与だけがモチベーションなのでしょうか?
【頭を悩ませているのは日本人だけではない】
ここで一旦視点を変えてみます。中国人人材の流動性の高さに苦慮しているのは日本人の総経理や管理職だけなのでしょうか?中国人の部下を抱える中国人管理者は、人は辞めるものと、ドライに割り切っているのでしょうか?
結論はNOです。自身の志や会社に対する忠誠心が高い管理者ほど、いかに人材を定着させるかに心を砕いています。
去る5月上海にて、弊社がパートナー企業と共同で開催した「日系企業の中国人管理者向け研修」では、「ロジカルな分析」をテーマとしたグループ討議を行い、「中国人社員の離職率が高い理由」を検討してもらいました。参加者は上海の日系企業で勤める中国人管理者約30名、様々な業種からの参加者に白熱した議論を繰り広げてもらいました。尚、研修で使用した言語は全て中国語です。
【中国人管理職が分析する、中国人が会社を辞める理由】
各グループで様々な意見が出ましたが、給与面以外で多く声があがったのは「会社の将来性」と「人間関係」でした。
前者に関しては、「業界的な先行きの明るさ」や「会社としての強みが明確かどうか」も勿論ですが、それ以上に「会社の理念に共感できるかどうか」や「会社としての方針や目標が明確かどうか」が重要だ、という結論を出すグループが多数でした。
後者もなかなか興味深い結果です。上司、部下、同僚、部門間、取引先など様々な人間関係がありますが、ダントツで最も多く挙げられたのは「上司」でした。「ついていこうと思える上司かどうか」、そして「トップダウンだけでなく、業務に対して責任を持たせてくれるか」が大きなポイントです。これは責任感の強い管理者層に分析させたからこその結果かもしれませんが、個人的に研修以外でも少なくない中国人社員と接触する中で、一つの傾向であると確信しています。
もちろん給与面も大きな要因の一つです。ただ、単純に高給かどうかよりも、明確なキャリアパスが明示され、自身が正当に評価されているかどうか、そして自己実現を得られるかどうかが決め手となっています。また実際の経営では、給与面は福利厚生によってある程度カバーが可能なので、単純に額面だけに注視するのは会社として大きな誤りです。
この他、「交通の便」や「オフィス環境」という意見も多く挙がりました。快適な業務環境整備の重要性は、中国においても馬鹿にできません。
尚、本コラムでは理解を容易にするため「中国人」と一括りにしていますが、実際は都市や出身地などにより特性があるように筆者は感じています。ここでは割愛しますが、出身地が異なる社員をそれとなく競争させると双方にとって効果的です。
【積極的な中国人人材を抱える企業の共通点】
さて、前述の研修は隔週の4回に分けて実施したのですが、講師を努めた私の方が刺激を受ける程、受講生の意識が高く驚かされました。特に驚かされたのが、研修内では参考程度に紹介した内容を、自主的に学習して宿題にしっかりと盛込んできた受講生までいた事です。
ところでこのように積極的な中国人人材を抱える企業には、ある共通点が存在するように感じました。それは「日本人上司と良好なコミュニケーションを行えている」点です。研修に参加した中国人管理者は、その半数は日本語が話せない人材でした。しかしながら日本人上司は積極的にコミュニケーションを取り、良い関係の構築に努めているようでした。
研修の最終日、参加者の総経理を招き成果報告会の場を持ちました。参加者は総経理に対して研修で学んだ事を発表し、総経理には参加者に対し期待の言葉をかけてもらいました。参加者は全体的に優秀な人材ばかりでしたが、その中でも積極的に研修に参加していた数名は、例外なく上司と相互に深みのある言葉をかけ合っていました。まさに辞めたいと感じる会社の逆を実現した姿と言えましょう。
さて、ここまで上海での事例を述べてきましたが、日本においても大きくは変わらないでしょう。中国未進出の企業でも、中国人人材が定着せずに困っているという話は少なからず相談を受けます。そのような企業にとって、前述の演習結果が少しでも参考になれば幸いです。
御社は中国人人材を上手く活用できていますか?
【頭を悩ませているのは日本人だけではない】
ここで一旦視点を変えてみます。中国人人材の流動性の高さに苦慮しているのは日本人の総経理や管理職だけなのでしょうか?中国人の部下を抱える中国人管理者は、人は辞めるものと、ドライに割り切っているのでしょうか?
結論はNOです。自身の志や会社に対する忠誠心が高い管理者ほど、いかに人材を定着させるかに心を砕いています。
去る5月上海にて、弊社がパートナー企業と共同で開催した「日系企業の中国人管理者向け研修」では、「ロジカルな分析」をテーマとしたグループ討議を行い、「中国人社員の離職率が高い理由」を検討してもらいました。参加者は上海の日系企業で勤める中国人管理者約30名、様々な業種からの参加者に白熱した議論を繰り広げてもらいました。尚、研修で使用した言語は全て中国語です。
【中国人管理職が分析する、中国人が会社を辞める理由】
各グループで様々な意見が出ましたが、給与面以外で多く声があがったのは「会社の将来性」と「人間関係」でした。
前者に関しては、「業界的な先行きの明るさ」や「会社としての強みが明確かどうか」も勿論ですが、それ以上に「会社の理念に共感できるかどうか」や「会社としての方針や目標が明確かどうか」が重要だ、という結論を出すグループが多数でした。
後者もなかなか興味深い結果です。上司、部下、同僚、部門間、取引先など様々な人間関係がありますが、ダントツで最も多く挙げられたのは「上司」でした。「ついていこうと思える上司かどうか」、そして「トップダウンだけでなく、業務に対して責任を持たせてくれるか」が大きなポイントです。これは責任感の強い管理者層に分析させたからこその結果かもしれませんが、個人的に研修以外でも少なくない中国人社員と接触する中で、一つの傾向であると確信しています。
もちろん給与面も大きな要因の一つです。ただ、単純に高給かどうかよりも、明確なキャリアパスが明示され、自身が正当に評価されているかどうか、そして自己実現を得られるかどうかが決め手となっています。また実際の経営では、給与面は福利厚生によってある程度カバーが可能なので、単純に額面だけに注視するのは会社として大きな誤りです。
この他、「交通の便」や「オフィス環境」という意見も多く挙がりました。快適な業務環境整備の重要性は、中国においても馬鹿にできません。
尚、本コラムでは理解を容易にするため「中国人」と一括りにしていますが、実際は都市や出身地などにより特性があるように筆者は感じています。ここでは割愛しますが、出身地が異なる社員をそれとなく競争させると双方にとって効果的です。
【積極的な中国人人材を抱える企業の共通点】
さて、前述の研修は隔週の4回に分けて実施したのですが、講師を努めた私の方が刺激を受ける程、受講生の意識が高く驚かされました。特に驚かされたのが、研修内では参考程度に紹介した内容を、自主的に学習して宿題にしっかりと盛込んできた受講生までいた事です。
ところでこのように積極的な中国人人材を抱える企業には、ある共通点が存在するように感じました。それは「日本人上司と良好なコミュニケーションを行えている」点です。研修に参加した中国人管理者は、その半数は日本語が話せない人材でした。しかしながら日本人上司は積極的にコミュニケーションを取り、良い関係の構築に努めているようでした。
研修の最終日、参加者の総経理を招き成果報告会の場を持ちました。参加者は総経理に対して研修で学んだ事を発表し、総経理には参加者に対し期待の言葉をかけてもらいました。参加者は全体的に優秀な人材ばかりでしたが、その中でも積極的に研修に参加していた数名は、例外なく上司と相互に深みのある言葉をかけ合っていました。まさに辞めたいと感じる会社の逆を実現した姿と言えましょう。
さて、ここまで上海での事例を述べてきましたが、日本においても大きくは変わらないでしょう。中国未進出の企業でも、中国人人材が定着せずに困っているという話は少なからず相談を受けます。そのような企業にとって、前述の演習結果が少しでも参考になれば幸いです。
御社は中国人人材を上手く活用できていますか?
リソース:中国ビジネスヘッドライン
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