【北京=大越匡洋】中国国務院(政府)は所得分配改革を推進するための基本方針をまとめ政府各部門や地方政府に実行を指示した。高額所得者や保有不動産への課税を強化する方針を明記。庶民の不満の温床となっている所得格差の縮小をめざす。
基本方針では税や社会保障など制度改革を通じて「高すぎる収入を調整し、低所得層の収入を引き上げる」と強調。所得捕捉が難しい高所得層への課税の徹底、日本の固定資産税にあたる不動産税の試行地域(現在は上海、重慶両市のみ)の拡大を明示した。遺産税(相続税に相当)の導入も将来の課題に掲げ、低所得層への所得移転を促す。
国有企業幹部の報酬管理も強化する。政府が任命した国有企業幹部の報酬に上限を導入し、幹部の報酬の増加率が一般従業員の給与の増加率を上回らないようにする方針を打ち出した。同時に、2015年までの第12次5カ年計画の期間中は「政府の機構、幹部ポストを減らす」という。
一方、中低所得層に対しては税負担の軽減、医療など社会保障の整備で所得水準を引き上げる。現行は地域別に決まっている最低賃金について業種別の導入も検討。預金金利の規制を緩め、競争によって預金金利を引き上げやすくし、庶民の預金収入を増やす方針も示した。
ただ改革の実効性はなお疑問が残る。高所得者の所得捕捉が不十分なうえ、制度改正の実現時期なども不透明な部分が多いためだ。中国政府は3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で制度改正に着手し、20年までに所得を倍増させる計画に合わせて段階的に実行する見通し。
リソース:日本経済新聞
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