ファナックが26日発表した2013年3月期連結決算は、純利益が1204億円で前の期比13%減った。中国の工作機械の需要が低迷し、利益率の高い数値制御(NC)装置が落ち込んだ。減益は3期ぶり。もうひとつの柱である、米アップルの「iPhone」(アイフォーン)向けの加工機械の販売が前期下期から減速。足元も低調気味で、13年4~9月期の売上高は前年同期比23%減、純利益は同39%減を見込む。
前期の売上高は7%減の4983億円、営業利益は17%減の1848億円だった。主因はNC装置を含むファクトリーオートメーション(FA)部門の減速だ。同部門の売上高は25%減の2001億円。世界で設備投資を抑える動きが広がり、中国などアジアで工作機械の需要が昨夏から落ちた影響が出た。
一方、iPhoneのアルミケースの加工などに使うロボドリルは伸びた。特に電子機器の受託製造サービス(EMS)最大手、台湾の鴻海精密工業向けの出荷が増加。ファナック全体に占める鴻海向けの売上高比率が初めて10%を超えた。
鴻海向けの売上高は869億円で、ロボドリルを含む事業部門の売上高は1791億円。ファナックの収益が直接的には鴻海、間接的にはアップルの動向に左右されやすくなっていることが浮き彫りになった。
ロボドリルの足元の販売には急ブレーキがかかっている。アップルが昨年9月に発売した「iPhone5」の販売が伸び悩み、EMSの設備投資が一巡したのが原因だ。ファナック側も下期に海外でロボドリルの売り上げが急激に落ち込んだと説明している。
この傾向は今期も続きそうだ。同社は期初段階では上期のみの業績予想を開示しており、売上高が2020億円、純利益は410億円。アップルによる新型iPhoneの発売が遅れ、EMSの設備投資の持ち直しにも時間がかかるとの見方が株式市場で出ている。
リソース:日本経済新聞
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