[上海 19日 ロイター] 日本の自動車メーカーは中国市場での価格競争激化に伴うコスト引き下げのため、中国の部品メーカーからの調達比率を引き上げるよう迫られている。
日本メーカーは系列部品メーカーと密接なつながりを持ち、共同で部品の設計や開発を進めることで、品質面で世界的に高い評価を確立してきた。しかし中国市場では価格が1万ドル以下のシンプルな車種が新世代ドライバーの人気を集めている。日本メーカーはこの分野で吉利汽車(0175.HK:
株価, 企業情報, レポート)など現地メーカーや外国メーカーと熾烈な競争を繰り広げており、コスト削減が不可欠だ。
日本の自動車メーカーは10年前に中国市場へ参入した際には、部品供給を系列メーカーに全面的に依存していた。コスト抑制のため系列部品メーカーにも現地生産化を進めるよう求め、今では日産自動車(7201.T:
株価, ニュース, レポート)やホンダ(7267.T: 株価, ニュース, レポート)は車種によっては現地の部品調達率が90%を超える。しかし系列メーカーの中国生産部品は日本から輸入した資材に依存しており、たとえ中国で製造しても中国系部品メーカーの製品よりも値段が張る。
1万ドル以下の価格帯ではこれまで、中国の自動車メーカー同士がしのぎを削っていた。しかし高級車市場に参入する企業が増えた上、安い価格帯は販売台数が多いことから、低価格帯は外国メーカーにとってもはや無視できない市場になっている。
<追い上げ図る日本メーカー>
欧米の自動車メーカーは中国のメーカーの部品調達で先行しており、日本メーカーが追い上げを図っている。
東風日産の購買部門のシニア・バイス・プレジデント、山﨑庄平氏は「なんと言っても中国系部品メーカーの方が安い」と話す。
日本メーカーでは日産が最も積極的に現地企業からの調達に取り組んでおり、中国製「ヴェヌーシア」ではこうした手法によってコストを約40%圧縮した。
山﨑氏は「GMやフォルクスワーゲン(VOWG_p.DE: 株価,
企業情報, レポート)は現地部品メーカーを採用しており、こうしたメーカーから供給を受けなければ戦いに負けてしまう」と述べた。
<現地メーカーが強気に>
一方、尖閣諸島をめぐる日中間の対立の先鋭化を受けて、中国の部品メーカーの姿勢は強気になっている。
ホンダに部品を供給している日系企業の幹部は「日本メーカーは今回の危機対応で中国の提携相手に頼らざるを得ず、中国企業の発言権が高まった」と指摘。中国企業が国内メーカーの部品を導入するよう圧力を掛けているとした。
中国の製造業者が経験を積むにつれて中国製部品の品質は改善されたが、日本製の水準には依然として遠く及ばないというのが業界関係者の見立てだ。
山﨑氏によると、日産が2年前にヴェヌーシアの立ち上げているときには、サンバイザーが変形したり、部品のラベルが間違っているなど、信じられない問題が相当数発生した。日産は日本のエンジニアを現地の部品メーカーに派遣し、品質を高めた。今は中国系メーカーからの調達比率は金額ベースで15─20%となっており、これを35%以上に高めるのが目標という。
<系列企業は警告>
これまでのところ日本の自動車メーカーが中国部品メーカーから供給を受けているのは電装関連や内装など、車の安全性にとって重要度の低い分野に限られている。
ホンダ広報部メディアリレーションブロックの安藤明美主任は、ロイターへの電子メールで「100%現地化が当社の目標ではない」と話した。
トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)の中国の広報担当者はコメントを避けた。
しかし日本の系列部品メーカーは、中国メーカーからの調達率が高まれば車の品質は低下すると警告する。
トヨタ、日産、ホンダなどへ納入している部品メーカーの幹部は「自動車メーカーは絶対に認めないだろうが、品質は低下する。確かに現地メーカーはサンプルを提供するなどしているが、絶対に問題がないわけではない。実際に自動車に取り付けて路上を走行させてみなければ、自動車部品の耐久性などはチェックが非常に難しい」と述べた。
リソース:ロイター
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