中国人観光客の求める訪日旅行とは?
未だ動かない日中情勢に、商業、民間レベルでは業を煮やした感を頂かざるを得ません。しかしながら、中国人観光客誘致に取り組んできた自治体や企業にとっては、ここで簡単に諦めるわけにもいきません。
中国旅行社は、団体の訪日ツアーを全てストップしていますが、関係回復を待ち、本格的に訪日個人向けツアーの造成に力を入れている中国旅行社からは、反日デモの後も、新規商業施設や観光情報についての問合せが絶えません。訪日担当者も手が空いてしまったこの時期に、情報収集に費やす時間が出来たとばかりに動いています。
“準備”は怠れないからこそ、今、現地旅行社に向けた情報開示は、企業・自治体の中国人観光客の誘致に対する本気度を示す絶好の機会だとさえ感じます。
さて、中国から我が国に訪れる皆さんは、日本のどこを目指して、何をしに訪れているのでしょうか?中国人観光客の志向を、中国旅行社訪日担当者の声から拾ってみました。
◇行程
全て決められている団体ツアーより、個人志向が組み入れられる個人向けツアーが人気です。中国人気質として、元々自由に行動出来る個人旅行を好みます。行きたい場所へ行き、食べたいお料理を食べ、お得に買い物をする。この3点が成り立たなければ、旅行の楽しみはあり得ません。
◇ショッピング
“MADE IN JAPAN”が必須。
最近では男性用カミソリシェーバーの替刃の購入率が高く、シャンプー等は嵩張るボトルよりも詰替え用が人気があり、男女共に、染髪用品は大人気です。 高級時計、デジカメ等は相変わらず人気であり、頼まれて買っていくお土産のマスト商品です。
漢方や薬は、日本より中国の方が歴史があり「日本のものを選ぶ」事に違和感を感じてしまいそうですが、日本製品の検品の高さ、信頼度は厚く、また効能にも評価が高い為、たとえ高額でも購入されています。
旅行に行った際、親族や友人への土産購入率は、日本人以上に多い国民性です。「頼まれる物が多すぎて買い物に追われる」と嘆く旅行者も多く、その点は個人的にもいつも同情の念を感じずにはいられません。本店がヨーロッパにあるブランド等に関しても、中国国内にも支店があり、購入できるにも関わらず、販売店や商品自体を信用していない為、日本(外国)に来たついでに購入する傾向が強く、その感覚は中国ならではです。
なお“限定商品”、“特典”や“割引”はお得感があり、大変喜ばれます。地元ならではの“ちょっとしたおまけ”をプレゼントする、熱烈歓迎の気持ちが伝われば十分です。家族や友人の繋がりをとても大事にする中国人ですから、そういった気持ちには敏感に反応してくれるはずです。
◇食事
寿司・刺身・ラーメン、そして、しゃぶしゃぶ食べ放題が人気です。 例えば、お刺身ではトロより赤味に人気があり、お肉は霜降りでなくても赤味でも十分満足してもらえます。日本の牛肉は、特に美味しいので人気です。ちなみに中国では豚肉、鶏肉は美味しく頂けますが、牛肉は期待出来ません。
◇体験
初めて訪れた旅行者であれば、やはり日本の象徴、富士山は一番人気です。“ナンバーワン”や“オンリーワン”を好み、体験したエピソードを「帰国後に自慢したい!」という気持ちも、より強く持つ国民性です。
今年オープンの東京スカイツリーや、東京ディズニーランドという観光・遊戯施設への人気から、京都や浅草で芸者遊び等の日本文化に触れるなどの体験に強く興味を持っています。訪日リピーターへの情報掲示に対して、中国旅行社は情報不足を嘆いています。
まだまだ海外旅行が本格化したばかりの中国マーケットの為、ネットでの情報収集だけではなく、最終的には旅行会社へ相談し手配することが多く、旅行社にとっては日本の情報は欠かせません。
今後、団体マーケットからFITマーケットに急激にシフトしていくと共に、中国旅行社が顧客のニーズ(個人嗜好)に応えるべく造成の主導権を持ち、日本のホテルや商業施設が提供するサービスに見合う価格を優先した個人向けツアーを造成するには、まだまだ日本の”旬なインバウンド情報”が少ないのです。
特に、地域の特性、交通を調べるには情報が薄いと苦労しています。訪日担当者の声を聞いていると、我々日本は、豊かな訪日旅行を提供すべく、今だからこそBTOBへ向けた情報発信が必要だと実感せざるを得ません。
リソース:中国ビジネスヘッドライン
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