2013年3月24日日曜日

中国、SNS急拡大を警戒 通信大手の収益を圧迫

中国で交流サイト(SNS)サービスが拡大し、中国移動など通信大手の収益を圧迫している。インターネットサービス大手、騰訊控股(テンセント、広東省)のスマホ向けSNSが2年で3億人もの利用者を獲得するなど主要な情報・交流手段に急成長。通信大手が手掛けてきた携帯電話メールや音声通話の収益機会を奪っている。SNSの急拡大は中国政府の情報管理も難しくするなど社会への影響も大きい。

通信大手が特に警戒する勝訊のスマホ向けSNS「微信」は、文章や画像、音声メッセージなどを手軽にやりとりできるサービス。2011年1月のソフト配布開始後、利用者は中国国内を中心に加速度的に増え、12年9月に2億人、13年1月に3億人に達した。

微信の利用には通信料金がかかるが、通信会社の収入は自社で手掛ける「短信」と呼ぶ携帯メールに比べてはるかに少ない。中国移動の李躍・最高経営責任者(CEO)は14日の12年通期の決算発表記者会見で「短信なら100元(約1520円)を得るはずのところが、微信なら数元しかない」と明かした。

微信などのSNS拡大で通信会社の音声通話事業も影響を受ける。中国移動は12年の加入件数が前年比9%増となったが、同事業の売上高は1%増どまり。通信会社は巨額のインフラ投資を背負う一方、収益がネット起業に流れることに不満で政府に相談を持ちかけたと伝えられる。

一方、勝訊側は新たな負担増につながることを警戒し、通信会社側からの敵視を避けるのに躍進だ。馬化勝CEOは20日の決算発表記者会見で、ネット関連のサービスが通信網の利用拡大につながることを指摘し、「通信会社とは協力、共栄の関係だ」と強調した。

中国政府は既存の通信会社の設備を利用した通信事業の新規参入を認める考えで、勝訊はその有力候補とみられてきた。だが、馬氏は会見で「勝訊は参入しない。われわれの態度は明確だ」と完全否定し、通信会社との衝突をできるだけ避ける姿勢を鮮明にした。

勝訊はもともとパソコンなど向けのSNS「QQ」で膨大な利用者をつかみ、オンラインゲームやネット広告、電子商取引など幅広い事業で収入を得ていた。12年通年の売上高は前年比54%増と急成長を続け、営業利益は売上高が5倍超の中国聯合網絡通信を上回る高収益体質を保つ。

携帯電話でも使える「QQ」の利用者増は今も続き、12年末に7億9820万人に達した。

他のSNSでは「微博(ウェイボ)」と呼ばれるミニブログの成長も続き、新浪(上海市)のサービス利用者数は12年末に5億人を突破。中国では「微信」と「微浪」の頭文字をとって「2つの『微』が通信会社を圧迫している」といわれる。

SNSの拡大に頭を悩ませるのは通信会社だけではない。微信やQQは住民の抗議活動や労働者のストライキの呼びかけに使われる。・・・

リソース:日本経済新聞

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