2013年3月7日木曜日

高級飲食店 個人客に照準シフト 個室料金・最低消費額を撤廃

中国商務省によると、(中央政府による「節約励行」の方針が打ち出されて以降)北京市の高級飲食店では、売り上げが35%減少したほか、春節(旧正月、今年は2月10日)期間中、ツバメの巣やアワビといった高級食材の売り上げも40%前後、フカヒレについては70%以上の減少を記録した。高級ホテルで販売されている土産食品の売り上げにも45%の減少がみられたという。

◆売り上げ45%減

こうした状況下、経営難に陥った大手高級飲食店の中には、マーケティング戦略を見直し、経営の立て直しを図るところも出始めている。

民営飲食企業として国内初の上場を果たした北京湘鄂情餐飲管理は、経営する「湘鄂情」で高級レストランという“肩書き”を捨て、ファミリー用カラオケレストランに転身させる意向を発表。順峰や海棠餐庁といったレストランでも、個室料金と最低消費額の撤廃を決定しており、ビジネス客から個人客へと集客ターゲットをシフトさせる方針だ。

湘鄂情の関係者は「ビジネス客の減少を受けて、個人客向けへとモデルチェンジを決定。ハード面の改造や営業時間の延長に加え、時間帯ごとに異なる業務形態をとることになった」として、ファミリー用のカラオケレストラン形態を増やすとともに、利用客の利便性に配慮したスーパーの併設計画もあることを打ち明ける。

さらに、従来メニューにあった1人500元(約7500円)のコースをなくし、一部メニューの価格引き下げを実施。個室料金や最低消費額の設定に関しても撤廃を決めたが、「個室の間取りが大きいことから、料理単価を下げすぎると、経営を維持できないため、一定水準にとどめた」(同関係者)という。

個人客の増加を見込み、多くのレストランで撤廃されることになった個室料金と最低消費額の設定。しかし、これらは企業にとっては利益を確保する柱で、これを失うことによる痛手では大きく、経営が圧迫される企業も少なくない。

◆個人消費は拡大

一方、飲食業専門のシンクタンク、龍策餐飲智庫を立ち上げた田広利首席顧問は「公費支出の削減に隠れる形で、個人の高級消費は拡大している」と指摘し、こうした消費者層を意識した価格設定の必要性を強調。同時に、「高級飲食市場では同質化が進んでおり、独自性のあるメニューやサービスを提供できる店だけが生き残ることができる」として、富裕層の需要を満たすサービスを展開していくよう提言している。(北京晩報=中国新聞社)

リソース:SankeiBiz

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