2013年3月2日土曜日

中国、800社上場できず 当局が認可中断

株需給悪化を懸念

中国で成長産業の資金調達ルートが目詰まりを起こしている。株式需給が緩んで株価が下落することを恐れる証券監督当局が新規上場の認可を一時中断しているためだ。浙江省の自動車部品メーカーが2012年11月に上場して以来、新規上場は約4カ月間途絶えたまま。上場待ち企業は800社を超え、上場できない企業が投資資金を調達できずに不満を強めている。

上場申請したまま当局の認可を待つ企業は21日時点で860社にのぼる。業種別では、航空やネット、バイオなど新興産業が目立つ。

格安航空大手の春秋航空(上海市)、上海吉祥航空(同)のほか、オンラインゲーム開発の北京麒麟網文化(北京市)、バイオベンチャーの浙江花園生物高科(浙江省)などが上場を待つ。花園生物は上場によって調達する資金のうち約1億8000万元(約27億円)を投じて飼料用ビタミン剤の工場を建設する予定だが、10年に上場を申請してからまだ認可を得られていない。

中国証券監督管理委員会(証監会)が新規株式公開の認可を一時中断しているのは、株式需給の悪化による株価落下を懸念しているためだ。869社は中国の上場企業全体(2493社)の35%に相当する。新規上場によって大量の新株が市場に放出されると、株価が落下する可能性が高い。

代表的な株価指数である上海総合指数は07年に付けた過去最高値(6124)から4割弱の水準にある。投資家の多くが含み損を抱えたままで、売買の約7割を占める個人投資家を中心に「政府は有効な株価対策を打ち出すべきだ」と不満が強い。

12年は証監会の認可中断によって、年後半に新規上場が失速。154社とリーマン・ショック後で市場が混乱した09年以来の低水準となった。

中国ではベンチャー企業は国有銀行から融資を受けることが難しい。株式発行という重要なリスク資金の調達ルートが閉ざされ、投資資金を調達したい新興企業から「上場まで時間がかかりすぎる」(格安空港の春秋航空)などと不満が高まっている。

上場が困難になるなか危うい手法を使ってでも成長資金を調達しようとする企業もあらわれた。

「120元(約180円)で100株売ります」。昨年6月に創業したベンチャー企業、北京美微伝媒(北京市)は中国のネット通販最大手「淘宝網」で未公開株を売り出した。証券市場を通さず不特定多数の投資家から資金を募ることは法律で禁止されており、違法の疑いが強いが、経営者の朱江氏は「中小企業の資金調達ルートを開拓する試み」と話す。

淘宝網の北京美微伝媒のページはすでに閉鎖されたものの、その後も中国版ツイッタ―の「微博(ウェイボ)」などを使い未公開株を宣伝。個人から集めた資金は100万元(約1500万円)を超えたもようだ。同社は各地で「株主総会」と称して個人を対象に経営戦略の説明会を開いている。

リソース:日本経済新聞

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