2013年2月27日水曜日

中国の不動産大手、国内富裕層追い海外投資急ぐ

最大手が米進出 内需は引き締め策で成長鈍化

中国の不動産大手が海外事業の拡大に動き出した。最大手の万科企業(広東省)が米国での住宅事業進出を決めるなど各社は米欧やアジアへの進出を急いでいる。中国国内では政府が価格高騰を抑えるための不動産取引抑制策を続け、市場の成長が鈍化。投資機会を求めて世界に流出している中国富裕層マネーを取り込もうとしている。
 
中国の住宅販売額は昨年10%増にとどまった(広州市)
画像の拡大
中国の住宅販売額は昨年10%増にとどまった(広州市)

高級マンションを開発・販売 万科のトップの王石・董事会主席が自身のブログで、米サンフランシスコでの不動産事業参入を明らかにした。米不動産大手のティシュマン・スパイヤーと組み、同市で高層の高級マンションを開発・販売する。

万科は2012年の住宅販売額が1412億元(約2兆1千億円)に達する中国最大手。中国本土と香港以外での事業実績はなかったという。海外事業の規模などの具体的な計画はまだないが王主席は「グローバルな視野で国際化を進める」と強調。米国以外の海外展開も目指す考えを示した。

米国では中国不動産大手の●(森の形に金が3つ)苑置業(北京市)も12年から住宅の開発・販売を本格化させている。同年秋にはニューヨークの金融街から近い人気住宅地で、米国の不動産会社が資金繰りに行き詰まって手放した200世帯以上が住む高級コンドミニアムの建設用地を取得した。

中国不動産大手による米国での投資を勢いづけているのは、中国の富裕層などの投資や移民による現地での住宅購入の拡大だ。全米不動産協会(NAR)によると、米国での外国人への住宅販売に占める中国人の割合は12年調査(12年3月末までの1年間)で11%。07年調査の5%から大幅に伸ばし、米国の隣国のカナダに続く2位につけた。

一方、中国国内では大都市などで2軒目以降の住宅取得を制限したり、上限価格を設けたりする規制を中国政府が継続している影響で減速が鮮明になっている。中国国家統計局によると09年に前年比75%増だった国内の住宅販売額は、11年は12%増、12年は10%増にとどまった。不動産業界では「過去のような高度成長は難しい」(万科の郁亮総裁)との見方が広がる。

アジア展開も相次ぐ アジア各地に進出する動きも相次ぐ。大手の碧桂園(広東省)はマレーシアで住宅・商業不動産開発に着手。緑地集団(上海市)は韓国の済州島で医療施設の充実を売り物にしたリゾート開発に参加している。

一方、中国大手の海外進出はあつれきも生んでいる。中坤集団(北京市)がアイスランドで計画する土地取得が阻まれた。現地での中国の政治・軍事的意図に対する警戒感が背景にあるとの見方がある。購入者として期待する中国人の投資が「価格をつり上げている」と反発を招くケースも各地で出ている。

リソース:日本経済新聞

0 件のコメント:

コメントを投稿