2013年2月7日木曜日

中国、深センで貸出金利自由化 サービス業向け低利で

【広州=桑原健】中国政府は広東省深セン市で企業への貸出金利の自由化に乗り出した。深セン市政府が28日、英HSBCなど銀行15行が借り手企業と金利を自由に設定できる新たな貸し出しを始めると発表。中国本土では金融当局が金利を規制してきた。成長力のあるサービス業などに資金が流れやすい仕組みを試行し、労働集約型に偏重した産業構造の転換を促す。

新たな貸出制度は、深セン市政府が物流やIT(情報技術)、法務などサービス産業の育成を目指す同市西部の前海地区で導入。香港で人民元業務を行っている銀行が同地区の進出企業に対し、金利と返済期限が自由な人民元建て融資を実行できるようにした。

参加を決めたのはHSBCのほか、英スタンダードチャータード銀行、香港の東亜銀行、中国本土の中国銀行、中国工商銀行など。まず15行で総額20億元(約290億円)の融資を決めた。中国政府は参加できる銀行を増やす考えで、邦銀も関心を示している。

中国の金融当局は貸出金利と預金金利を規制。それぞれ基準を決め、貸出金利はその7割を下限としている。返済期限1年の貸し出しの場合、28日時点の基準金利は6%で、下限金利は4.2%。規制には銀行経営を健全にし、金融システムを安定させる効果があるが、成長性のある民営企業などに低利の資金が回らない問題があった。

一方で、香港は人民元の貸出金利も預金金利も自由。新たな仕組みに参加した銀行は香港で預金などとして本土より低い金利で調達した資金を、融資に回せるようになる。28日時点の香港の期限1年の定期預金金利は1%未満で、本土の基準金利3%を大きく下回る。

中国は労働集約型の製造業からハイテク・サービス産業への構造転換を目指し、香港に近い前海ではサービス産業の育成を進めている。中国企業では、インターネット大手の騰訊控股(テンセント)と通信機器大手の中興通訊(ZTE)が前海にサービス関連の拠点を置くことを決めた。

中国共産党の習近平総書記は2012年12月、就任後初の地方視察で広東省を訪れ、その中でも最初に工事が進む前海を見学。大胆な改革を試みるように指示した。

現時点では、企業が新制度で調達した資金の用途を前海地区での事業に限るなど、規制は残る。ただ、香港の金融関係者は、中国当局が前海に拠点を持つ企業などが香港市場で人民元建て債券を発行することや、株式投資することを認めるのを期待する声が強い。

28日の香港の株式市場では「前海関連株」がにぎわった。融資の第1陣に加わるHSBCや恒生銀行が昨年来高値を更新。前海に土地を持つコンテナ大手の中国国際海運集装箱や、深セン市政府系投資会社の深セン国際控股なども買われた。

リソース:日本経済新聞

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