2013年1月29日火曜日

日本企業にアジアが触手

技術を「売る力」必要

アジア企業が日本のドアをノックしている。シンガポールの塗料大手ウットラムグループが日本ペイントに事実上の買収を提案した。中国など新興国の消費者が「質」を求め始めた今、アジア企業の目には技術を持つ日本企業が「宝の山」に見える。技術流出を恐れてプロポーズを断るか。手を携えて世界市場に飛び込むか。日本の経営者は決断を迫られる。

ウットラムの狙いは日本ペイントと組み、世界でアクゾ・ノーベル(オランダ)などの大手と肩を並べることだ。

中国でウットラムと日本ペイントの合弁会社が展開する「立邦」は内装用塗料のトップブランド。日本では当たり前のホルムアルデヒドを使わない「におわない塗料」も、中国では「環境配慮型の先端商品」と評価される。自動車用塗料でも世界の先端を行く。

これだけの技術を持ちながら、日本ペイントの世界シェアは10位。「我々と組めばもっと売れる」というのがウットラムの本音だろう。

日本企業の頭脳とアジア企業の体力。この組み合わせは相性がいい。

中国のレノボはNECの個人向けパソコン事業を買収し、昨年、一時的にヒューレット・パッカード(HP)を抜いて世界首位に躍り出た。

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が出資したシャープの堺工場は、米ビジオなど新たな顧客を獲得して液晶パネルラインの稼働率を上げ、短期間で黒字化した。中国の家電大手、海爾集団(ハイアール)は三洋電機の白物家電をパナソニックから買収。沈滞していた旧三洋・白物の現物は活気を帯びているという。

国内でじり貧になっていた技術が、世界市場とつながることでよみがえった。それが3つのケースの共通点だ。

日本企業の弱点はマーケティング力にある。「いいものを作れば売れる」時代が長く続いたため、「売れるものを作って大量に売る力」が衰えた。アジア企業とのパートナーシップは、成長のダイナミズムを取り戻すカンフル剤になり得る。技術を国内に閉じ込めても世界では勝てない。そのことはシャープやパナソニックの「テレビ敗戦」ではっきりした。ニッポン製造業のグローパル戦略は「次のステージ」に進まねばならない。

リソース:日本経済新聞

0 件のコメント:

コメントを投稿