2013年1月23日水曜日

中国、新車供給に過剰感 15年に1500万台余剰

世界最大の自動車市場である中国で過剰供給問題が深刻化してきた。市場の拡大を見込んで自動車メーカーは工場建設に躍起となるが、景気減速や規制の影響で11日に発表された2012年の新車販売台数の伸び率は2年連続で1ケタ台にとどまった。15年には米国の年間販売台数に匹敵する1500万台の年産能力が過剰となる見通しで、メーカー間の生き残り競争が一段と激化しそうだ。

4年連続首位

中国汽車工業協会が11日に発表した統計によると、12年の新車販売台数(中国国内生産分、工場出荷ベース、商用車、輸出を含む)は11年比4.3%増の1930万6400台。米国(1449万台)を上回って、4年連続で世界最大の自動車市場となった。

これまで自動車の普及が遅れていた内陸部の中小都市までマイカーブームが広がっているが、景気減速や大都市のナンバープレート発給制限を受け、伸び率は09~10年の3~4割増からは減速。11年の2.5%増をわずかに上回る水準にとどまった。

昨年秋の沖縄県・尖閣諸島を巡る日中関係の悪化で、中国各地で日本ブランド製品の不買運動が発生し、日本メーカーは苦戦を強いられた。日産自動車、トヨタ自動車、ホンダなど各社は前年実績を割り込んだ。ただ、9月下旬を底にして前年同月比のマイナス幅は縮小しており、今年は巻き返しを狙う。

米欧韓勢が攻勢

日本勢からシェアを奪う形で、米欧韓メーカーが販売を伸ばした。米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン(VW)、韓国・現代自動車、米フォード・モーターはそれぞれ、中国で人気が高い多目的スポーツ車(SUV)の投入や値下げ、中国向け低価格車種の拡販で2ケタ増を実現した。

中国独自ブランドは明暗が分かれた。SUVで先行した長城汽車(河北省)が3割を超える成長を示し、米著名投資家のバフェット氏の出資で有名な比亜迪(BYD、広東省)を上回って中国版「ビッグスリー」の一角を占めた。スウェーデンのボルボ・カーを10年に買収した浙江吉利控股集団も高級路線で伸びた。

一方、欧米韓メーカーが10万元(約140万円)を下回る低価格車種を充実させたことから、低価格が特徴だった奇瑞汽車(安徽省)とBYDは苦戦。奇瑞汽車は2ケタの減少となり、BYDも前年並みの水準にとどまった。品質やブランド力をどう改善するのか。今後の巻き返し策に注目が集まる。

中国市場の13年の新車販売について、中国汽車工業協会は7%増の2065万台と予測する。同協会幹部は「本来ならばマイカーブームの広がりで10%成長を見込めるが、多くの都市で渋滞が深刻化している」と指摘。北京や上海、広東省広州で導入されているナンバープレート発給規制が各地に広がれば、12年並みの成長率にとどまる恐れもあるとの見方を示している。

リソース:日本経済新聞

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