2012年12月25日火曜日

中国人の仕事意識 世代間のギャップが見え隠れ

急速な経済成長を遂げる中国において、仕事を取り巻く環境はダイナミックな変化を遂げている。改革開放から30年が経つが、市場経済の導入は人々の仕事意識に少なからぬ影響をもたらした。サーチナ総合研究所では、会社と自己の関係や収入面の質問を中心に、中国消費者の仕事意識を探るオンライン調査を実施した。調査は、新秦商務咨詢(上海)有限公司<上海サーチナ>を通じて2007年1月19-22日の期間に行い、北京市、上海市、広東省を中心とする中国全土のモニター2000人から有効回答を得た。

「仕事のために家庭を犠牲」は6割が不賛成、若い世代に強い嫌悪感

まず、仕事のために家庭生活が犠牲になるという考え方に対する見方を尋ねた。家庭生活を犠牲にすることに何かしらの理解を示したのは16.5%に過ぎず、「非常に賛成する」はわずか2.8%にとどまっている。一方、まったく賛成しないという見方は17.1%に達している。中でも年齢50代以上の高齢者層では24.1%が強く否定しており、家庭重視の伝統的な考え方が根強く残っている。とはいえ、熾烈な競争社会が今後も続くことを考えると、将来的にはこうした考え方にも変化が起きるかもしれない。

(出典:本調査結果を基にサーチナ総合研究所作成)

同じ会社で一生働くという考え方に対しては、年齢層による差がはっきりと表れた。若い層で賛成しない人が多いのに対し、高齢層では賛成する割合が高い。これは、各自が置かれた世代的な環境の違いが大きく影響している。計画経済のもとでの長期的な労働が一般的だった時代は既に過ぎ去り、現在は都市部を中心に、意欲や能力さえあれば新しい機会をものにできるというチャンスが転がっている時代だ。もともと自己主張が得意な彼らにとっては、自分の能力をアピールしてステップアップを図れる環境になりつつある昨今の状況は、大いに好ましいものではないだろうか。
それは、「仕事に不満がなくても転職や独立をしたいか」との回答に表れている。全体平均では63.9%が賛成しており、賛成しない人は15%を切る。ステップアップを重視した人生設計の中では、むしろ転職は積極的に受け入れられている。

専門的な能力を高めたいと考えている人は全体の9割を超えており、その専門能力が発揮できる仕事をしたいという考え方は多くの賛同を集めている。そうした傾向を反映してか、能力主義や成果主義が浸透した環境で働くことを希望する人が多いことが調査結果からも分かった。

会社への不満上位は「収入」「賃金制度」「福利厚生」「能力発揮機会」

会社に対する不満で最も多いのは年収。2番目に多いのが賃金制度であることからしても、やはり給与面で納得していない人が多いようだ。給与面以外の不満として多かったのは、福利厚生、能力発揮の機会、会社の将来性など。

(出典:本調査結果を基にサーチナ総合研究所作成)

不満が多い給与面について、どのような給与体系がいいと思うかを尋ねたところ、51.6%が能力格差型、33.4%が業績格差型と答え、年功序列型は少数だった。能力格差型を望むのは10代が最も多く、世代が進むにつれて減少していく。正反対に、年功序列を支持する人は年齢が高くなるにつれて増加している。

会社での労働意欲が増す理由のひとつに福利厚生制度が挙げられるが、その内容で要望が多いのは、スキルアップの支援を中心とする制度。中国では、転職の際、どれだけ大きな会社にいたかというよりは個人がどれだけのスキルを持っているかが重視されるため、このあたりは大いに気になるところかもしれない。

残業については、84.9%が普段から残業をするとしており、そのうち残業代を全額もらっている人は14.3%で、ある程度もらっている人が42.3%。しかし、ほとんどあるいはまったくもらっていない人も43.4%に達している。

リソース:日経BPネット

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