2012年12月31日月曜日

中国の成長率2年ぶり改善 10~12月、エコノミスト見通し

中国の2012年10~12月の国内総生産(GDP)の実質成長率が前年同期比7.8%と、8四半期ぶりに改善しそうだ。日本経済新聞社と日経QUICKニュース(NQN)が今月、香港と中国本土に在住するエコノミストを対象に共同調査した。ただ力強さには欠け、12年通年では7.7%と13年ぶりの8%割れが確実な情勢。中国経済の抱える構造問題や世界経済の不透明感などを背景に、13年以降の回復の足取りも鈍いとの見方が多い。

調査は今回が7回目で、21人から回答を得た。

12年通年の成長率見通しは9月に実施した前回調査(7.8%)から0.1ポイント低下。13年通年の予想は前回と変わらずの8.0%だった。

内需なお力不足

10~12月を含め足元では「投資が回復の主な要因」(招商証券の謝亜軒氏)との見方でおおむね一致している。ただ、投資は政府によるインフラ向けが主体で、民間の投資意欲は鈍い。

みずほ証券の沈建光氏は「民間投資はなおも過剰な生産力に悩まされ、外需も世界経済のさえない状況に引きずられる」として、13年も7.8%成長にとどまると読む。

中国共産党と政府が来年の経済政策の方針を決めた今月15~16日の中央経済工作会議では「内需拡大が戦略の基点」とし、消費に力点を置く姿勢を鮮明にした。都市部を中心とする所得向上で購買力は高まっているが「消費が経済成長の大きな部分を担うには時間がかかる」(新鴻基証券の蘇沛豊氏)のが実情だ。

このため、今回の経済回復の軌道は緩やかとみられる。大和証券の孫明春氏は「V字型」を見込むが「09年に比べずっと小さい」と予測する。

習近平総書記を中心とする新指導部は「成長の質と効率の向上」も打ち出す。過剰な生産設備や企業部門の負債、人口高齢化などへの腰を据えた対応が必要で「8%台の成長に戻すことは将来のリスクを高めるだけ」(ソシエテジェネラルの姚煒氏)との指導もある。

金融政策維持か

消費者物価指数(CPI)の13年の上昇率の予想は平均値が3%台で、中国政府が揚げる4%前後をなおも下回り、今後1年間で政策金利は、据え置きか引き下げを見込む声がなおも主流だ。

ただ、「利上げ派」も一部で台頭してきた。スタンダードチャータードのスティーブン・グリーン氏は、13年末にかけての物価上昇の加速から「利下げ局面は終わった」と言う。野村国際の張智威氏も「13年後半に2度の利上げに踏み切る」と予想する。

人民元の対ドルレートについては、引き続き緩やかに上昇するとの声が支配的だ。

冬氏は「中国での生産コストが上昇するなか、日本企業だけでなく他の外国企業も直接投資の政治リスクを考慮し始めている」と指摘。2国間にとどまらない問題である」とを強調した。

招商証券の謝亜軒氏も「影響は多方面に及ぶ。特に投資と輸出への影響が大きい」と見る。

「和すれば互いに利あり、争えば共に傷つく」という言葉を引用し、両国政府に自制を即している。

リソース:日本経済新聞

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