2012年12月25日火曜日

中国、独居の高齢者急増 10年で比率11%から16%に

【北京=森安健】中国で65歳以上の高齢者だけで暮らす世帯が急速に拡大していることが分かった。中国は伝統的に家族が高齢者の面倒を見てきたため、老人ホームなど高齢者向け施設の整備が遅れており、高齢者だけの世帯のあり方は、新体制による「習近平時代」の課題になる可能性がある。

政府系シンクタンクの中国社会科学院が発表した2013年版「社会青書」で明らかにした。高齢者がいるすべての家庭のうち、老夫婦のみ、または高齢者一人で暮らしている世帯の比率は、00年には22%だったが、10年には31%まで9ポイント跳ね上がった。このうち独居老人の比率は11%から16%に上昇した。

農村部の若者が都市部に出稼ぎに行き、高齢者だけが残る例は以前からあるが、都市部でも親と離れて住むライフスタイルが拡大。上海市では高齢者のいるすべての家庭の4割は「高齢者のみ」の世帯だ。

社会科学院は「独居老人の増加は特に注視しなければならない」と指摘する。独り暮らしの高齢者は、子どもまたは配偶者と暮らす高齢者より平均的に健康状態、栄養状態が悪く、孤独を感じている人も多い。「長く続いた計画経済と分配により、私有財産は少なく、生活も苦しい」と社会科学院は分析する。

中国の65歳以上の人口は1億2300万人で世界最大。政府は介護施設のベッド数を15年までに340万床以上増やす計画を打ち出しているが、あくまで家族が高齢者と同居し面倒を見るのを基本としており、高齢化社会への準備が十分ではないとの指摘もある。

社会青書は独居老人対策の一つとして高齢者の再婚を促している。中国では財産分与に絡むため親の再婚に反対する子どもが多いが、青書は「子が親の再婚を邪魔しないことが重要だ」と明記した。

リソース:日本経済新聞

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